12月3日(木) 本日、高島なおきにメールが届きました。足立区の財政の厳しさをご心配され送られたと思います。無論、故郷である足立区が何時も元気で活性化していなければなりません。その為には私も全力で頑張ります。
≪参考のためメールをご覧になって下さい。本来ならばご返信したいのですが匿名のためできませんでしたのでHPに掲載させていただきます。≫
足立区で、都区財政調整交付金が減る影響での減収が100億円という記事がありました。
https://mainichi.jp/area/tokyo/news/20091126ddlk13010263000c.html
足立区は、基金も取り崩し、事業の執行も止めるなどして、本当に大変な努力をしなければなりません。
税収がかつてなく減ったのだから、入るを計って出るを制すで、仕方の無いこと。
こんな大減収の苦労を23区がしなければならないのに、多摩の市役所はどうなんだ、ということです。
同じしくみで多摩が東京都からお金をもらえる市町村振興交付金は、18年度310億円、19年度345億円、20年度380億円、21年度425億円と、すごい勢いで増えていく一方です。1.5倍くらい増えているのではないでしょうか。
都税が減収なのに、なぜなのでしょう。都区財政調整交付金が減っていくのになぜなのでしょう。特別区が切り詰めて苦労するのに、なぜ多摩の市役所はもらえるお金が増えて、苦労をしなくても良いのでしょう。23区の税金を多摩の市役所に払う理由は、何かあるのかもしれませんが、難しくてよくわかりません。
以上です。
ご返事は
都区財調制度と市町村総合交付金
? 両者ともに制度の目的や規模などは以下のとおりに違いがあり、一概に比較することは妥当ではありません。違う仕組みなのです。
○目的の違い
都区財政調整制度は、行政上の特例(都が消防、上下水道などの市町村の事務を行っています)、税制上の特例(都が本来は市町村税である固定資産税、市町村民税法人分等を都税として賦課徴収して、都区の共有の財源としています)を前提に昼夜間人口の格差、都市の機能分担による税源の著しい偏在といった特別区特有の実態を踏まえ、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡を図ることを目的としていることに対しまして、市町村総合交付金は、都市基盤や医療福祉などの分野で特別区に比較して遅れています、いわゆる三多摩格差の是正に資するために、地域の振興を図り、もって市町村の行政水準の向上を図ることを目的としています。
○規模
特別区財調交付金(普通交付金・当初算定、23特別区)
19年度 9,208億円(うち足立区 977億円)
20年度 9,452億円(うち足立区1,029億円)
21年度 8,935億円(うち足立区 993億円)
※特別区財調交付金は調整税の税収に連動したそもそも景気に左右される性
格のものなのです。
市町村総合交付金(当初予算、26市5町8村=39団体)
19年度 340億円
20年度 380億円
21年度 425億円
※21年度の増額のうち20億円は、義務教育就学児医療費助成の拡充に当た
ってのものですが、それでもなお特別区は既に中学生まで無料なのに、市町村
は、小中学生は原則1回200円です。
? 特別区と市町村の財政状況を財政の弾力性を示す経常比率や公債残高、基金現在高を平成20年度の普通会計決算でみると以下のとおりで、圧倒的に特別区の財政のほうが優っていることがわかります。
○経常比率(この数字は小さいほど財政的に弾力的です)
特別区全体76.1
(足立区75.1 最小 港区61.1 最大 墨田区83.8)
市町村全体91.7
(最小 神津島村71.5 最大 日の出町108.3)
○公債残高
特別区全体 8,188億円
市町村全体 8,806億円
○基金現在高
特別区全体 1兆4,102億円
市町村全体 2,721億円
? 最後に、まさに現在、都と区に間において財調協議を開始したところのようですが、結論としては、景気停滞による税収減により今年度の都区財調は、当初算定より普通交付金ベースで約800億円の減になりそうで、足立区がその約1割相当としますと約80億円ぐらいの減となることが予想されますが、上記?、?のように目的、規模や特別区と市町村の財政力の違いがありますことからも特別区が市町村に比べて不利になっているということは全くないと思われます。まだまだ市町村のほうが大変だと考えられます。
また、都区財調においては、現行の配分率が特別区55%になって以来、調整税収入が順調に増加してきたことも重なり、後年度の財政負担軽減のため約2,000億近い財源対策経費(起債償還のための減債対策経費や公共施設改築経費の前倒し算定など)を別途算定してきておりまして(したがってここ数年は、特別区は「借金返して基金を積んだ」状態になっていました)、市町村総合交付金がここ数年増額されているからといって、現状において、多摩などの市町村が特別区と比べて財政的に苦労していないとの指摘はあたらないものと思われます。